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「彼らの勝利は皆の勝利」リオ五輪難民選手団が、難民キャンプの仲間たちに希望をもたらす

   

仮設スリーンでオリンピックを観賞するカクマ難民キャンプの少年

ケニヤ北西部に位置するカクマ難民キャンプは、リオオリンピックの開催期間中祝福ムードに包まれた。彼らの家族や友人が”オリンピック難民選手団”としてリオデジャネイロ五輪に出場したからだ。

特設スクリーンで大会を見守る難民キャンプの人々

太陽が沈み、暑い一日が終わろうとしているケニアのカクマ難民キャンプ。難民たちは警察とトラブルを起こさないよう、20時の門限を守るべく急いで家路につく。毎日のありふれた光景だ。しかし、我先にと急いで家路に着いていた人々が、リオ五輪開催中のこの時期は、興奮と感動を胸に巨大仮設スクリーンの前で一夜を過ごしている。

カクマ難民キャンプ

カクマ難民キャンプ Photo: Amnesty International/Richard Burton

カクマ難民キャンプでは20万人以上の人々が生活しており、各々毎晩集ってはリオオリンピックでの難民選手団を応援している。難民選手団とは、オリンピック史上初めて、戦争や迫害、飢餓により国を追われた難民たちによって作られたチームだ。仮設の巨大クリーンは、国連難民高等弁務官事務所とFilmAid、アムネスティ・インターナショナルの協力によって設置され、リオ五輪の様子をライブ中継している。

カクマ難民キャンプのリオオリンピック用仮設スクリーン

リオオリンピック用特設スクリーン Photo: Amnesty International/Richard Burton

総勢10名の難民チームのうち、5名は長距離ランナーで、南スーダンの内戦から逃れカクマ難民キャンプに住んでいる難民たちだ。ここには、開会式で全世界の難民を代表して旗を振った23歳のローズ ナティケ・ロコニェン(Rose Nathike Lokonyen)も含まれる。
難民チームには他に、シリアからの水泳選手が2名、コンゴからの柔道選手が2名、そしてエチオペアからのマラソンランナーが1名所属する。

「私は仲間である彼らを平等に応援します」

スーダン、エチオペア、ケニアを行き来しながら、おおよそ30年に渡って難民として生活しているBuol Jol Noi氏はこう語る。「難民チームは我々全員を代表している。シリアの水泳選手であろうがカクマ難民キャンプの選手であろうが、私は仲間である彼らを平等に応援します。」

生まれてずっとカクマ難民キャンプに暮らすMary Aluer Kur(21歳)も、「シリア、コンゴ、エチオペアの難民選手たちも、私たちの兄弟姉妹です。」と語る。「彼らは私たちと同じ境遇に置かれています。だからお互いを理解できるんです。もしシリアの難民選手が勝ったら、それは私たち全員の勝利です。」

MaryはFilmAidでジャーナリストとしての研修を受けている。今回のオリンピックを見ることで、カクマ難民キャンプのような場所に才能に溢れた人々がたくさんいるということに気づかされ、オリンピックを巨大スクリーンを通じて観れたことは彼女に大きな感動を与えたそうだ。
「難民は常に置き去りにされた感覚を抱いており、自分自身のことを信じることもできません。しかし同じ難民がオリンピックに出場したことは、若い難民たちに”できることをやろう”という刺激を与えています。なぜなら、努力は認められるという希望が初めてもたらされたからです。」

仮設スリーンでオリンピックを観賞するカクマ難民キャンプの人々

仮設スリーンでオリンピックを観賞するカクマ難民キャンプの人々 Photo: Amnesty International/Richard Burton

難民選手団は、子どもたちの新たなヒーロー

夕方近く、ローズ選手は女子800メートルに出場しようとしていた。巨大スクリーンの放映はまだ始まっていないが、人々は既に広場に集まり、賑やかな声が聞こえる。そのすぐ近くで、何人かの子どもたちが自分たちで即席のレースを行おうとしていた。「スタート」の声がかかる直前に、また一人女の子が加わった。ゴールラインの手前、弟より少し進んだ位置で、彼女はつまづいた。
彼女の家族はその光景をみて皆笑った。
「ローズとアンジェリナというカクマ出身の女性ランナーが、あの子の新しいヒーローなんです。早く2人に会いたくて、帰って来るのが待ち遠しいようです。」そう語るのは、2004年に南スーダンから逃れてきたこの家族の父親であるDeng氏。「もしあの子がこんな風に走ることを続けたら、私たちは次のオリンピックに出場する彼女を見られるかもしれません。」

引用記事:Olympic hopefuls bring inspiration to refugee camp

Photo: Amnesty International/Richard Burton

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