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「今度は私たちが助ける番」カナダに逃れたシリア人難民が、家を失ったカナダ人を助ける

   

家を失ったカナダ人を助けるシリア人難民

戦争により家が破壊され、難を逃れてカナダに辿り着いたシリア人難民たちが、こんどは山火事で住む家を失ったカナダ人たちを助けようとしている。

2016年5月、アルバータ州フォートマクマレーでは、激化する山火事により全住民8万8千人が避難した。避難住民たちはフォートマクマレーより北側に逃れ、カルガリーなどで避難できる場所を探しており、まさに難民そのものとなった。

この状況を知ったカルガリーに住むシリア人難民たちは、自分たちを助けてくれたカナダ人を、今度は自分たちが助ける番だと立ち上がり、Facebookなどを通じて支援を呼びかけた。

シリア人難民がカナダ人を助けようと呼び掛ける

カルガリーにはシリア難民支援グループ・カルガリー支部があり、普段はシリアから移住してきた難民たちの支援活動を行っているが、同グループに難民たちから、カナダ人を支援したいという申し出が多く寄せられたのだ。

同グループの共同創始者であるサム・ナンモウラ氏は、カナダに移住してきて間もない難民が支援を申し出てきたことに驚いたと言い、「シリアは寛大な国としての長い歴史があります。カナダにほんの2、3ヶ月前に来たばかりの難民たちにとっては、5ドルの寄付というのは大変な額です。私は彼らをとても誇りに思います。私は涙が溢れ、本当に嬉しく感じました。」と語る。

また、同じく共同創始者であるサイマ・ジャマル氏は、「彼らができる支援の規模は、ほんの僅かなものであるということを理解しなければなりません。しかし彼らは、町全体で家が失われるということが、どういうことなのかをよく分かっているのです。彼らはシリアで、同じような経験を乗り越えてきたのですから。」と語る。

”いつでも支援する準備がある” 家具や食料品も寄付

シリア難民支援グループのスタッフやシリア人難民たちは、町中のシリア人難民宅を訪ね、自分たちを助けてくれたカナダ人を助けるため、最低5ドルの寄付を呼びかけた。寄付金は、避難してきたフォートマクマレーの住人たちに衛生用品を支給することなどに使われる。

また、シリア人難民たちはお金以外の支援も差し伸べた。服や食料、そして家具まで、彼らがほんの数ヶ月前にカナダに到着した際に受け取ったものを、こんどはそれらを必要とするカナダ人に差し出したのだ。

「全てのシリア人は、”いつでも支援する準備がある”と言っています。」と、ジャマル氏は語る。
ある中東からの難民は、「カナダ人は私たちに多くを与えてくれた。今度は私たちが彼らを助ける番だ。」と語っている。

家を失ったカナダ人を助けるシリア人難民

フォートマクマレーの避難住民に支援物資を送るシリア難民支援団体カルガリー支部のメンバー (Photo: Saima Jamal/Syrian Refugee Support Group Calgary)

難民受け入れ反対派の考えも変わってきた

ジャマル氏によると、難民受け入れに反対していたカナダ人たちの考えも、今回の出来事を通して少しずつ変わってきていると言う。「そうした人たちも今、シリア人も自分たちと同じように思いやりの心を持つ人たちであるということを目の当たりにし、自分たちもできることをしようと思い始めているのです。」と語る。

筆者(当サイト管理人)も、スウェーデンにて難民の方のご自宅を訪ねたことがあるが、子どもがお茶を出してくれ、かつて自分の国で誇らしくそうしていたように、他の地で困難な状況におかれても、客人を最大限のおもてなしで迎えてくれた。彼らは難民であるが、尊厳されるべき同じ人間なのだと感じた記憶が鮮明に蘇る。

非常に解決が難しい難民問題だが、難民の方々も私たちと同じように、誇りと尊厳を持った一人の人間であるということは、いつも忘れないようにしたい。

引用記事
Refugees Give Back To Host Country and Canadians Displaced by Wildfire
Fort McMurray Fire: Syrian Refugees Pitch In To Help Evacuees

Photo on the top: Syrian Refugee Support Group Calgary

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